バイエルクロップサイエンス株式会社エンバイロサイエンス事業部

日本におけるHACCPの普及状況と最新動向

HACCP普及状況:

次に日本におけるHACCPの普及状況と最新動向を見ていきましょう。

日本でのHACCPの取り組みは、1995年に厚生労働省の認証制度である総合衛生管理製造過程(通称マルソウ)が食品衛生法に位置づけられたのが始まりです。これはHACCPの考えを取り入れた制度ですが、本来HACCPで扱うのは安全性であるのに対して、この総合衛生管理製造過程では、扱う項目に品質や、HACCPを行う前段階である「前提条件プログラム(PP)」、「適正製造基準(GMP)」まで含んでいるため煩雑なシステムとなっていて、大企業でも実践するのは容易ではない内容となっています。

1998年に政府はHACCP導入による食品の製造過程の管理の高度化を促進するため、必要となる施設の整備に対する金融や税制上の支援を講ずる内容を規定した、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法(通称 HACCP支援法)を制定しました。この法律は期限延長が繰り返され、現在2023年まで有効となっています。こういった長年の取り組みの成果により、日本でもHACCPが徐々にではありますが浸透してきています。(下記グラフ参照)

HACCPの導入状況

出典:平成30年6月 農林水産省 食糧産業局 食品製造課 平成29年度 食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査結果

 

HACCPに関する意識が高まってきていることは、2017年にバイエルが食品製造業、飲食店を対象に実施した市場調査でも確認することが出来ます。(下記参照)

HACCP・殺虫剤に関する意識調査

Q1.自社施設の衛生管理・害虫防除の重要性が、5年以内にどのように変化すると思いますか?

A1食品製造業、飲食店は、衛生管理、害虫防除への取り組みを強化していくべきと考えている。

HACCP・殺虫剤に対する意識調査

 

Q2.厚生労働省が全ての食品等事業者を対象に“HACCPによる衛生管理の義務化”を検討していることをご存知ですか?

A2.食品製造業の9割以上、飲食店の6割以上がHACCPによる衛生管理の義務化の動きを認識している。

HACCP・殺虫剤に対する意識調査

 

Q3.自社施設の衛生管理、害虫防除を行う上で殺虫剤が使用される場合、HACCP認証を取得した殺虫剤と認証を取得していない殺虫剤のどちらかを選ぶとすれば、どちらの殺虫剤の使用を希望されますか?(どちらの殺虫剤も価格は同じという前提で)

A3.食品製造業、飲食店は、安全性評価を経た上でHACCP認証を受けた殺虫剤の使用を望んでいる。

HACCP・殺虫剤に対する意識調査

(バイエル調べ N=210)

 

HACCP最新動向:

世界各国のHACCP導入状況や国内のHACCP普及推進に伴い、日本でも2016年にようやくHACCP義務化の検討が開始されました。そして、20186月に食品衛生法に関する改正法案が国会で成立し、同年613日に公布されました。これは15年ぶりの大改正となります。

  • 改正のポイント:HACCPによる衛生管理の制度化(義務化)

  • 背景、狙い:2020年東京オリンピックや日本の食品輸出促進(TPP11、日欧EPAなど)を見据えて、国際標準と整合性のある食品衛生管理が日本でも求められるようになってきたため。

  • スケジュール:施行日は公布日から2年後の2020613日(その後1年間の経過措置あり)

グローバル化が進み、国境を超えて世界規模で経済的結び付きが強まる中、国際標準と整合性のある食品衛生管理を行うことの重要性は日に日に高まっています。HACCP義務化開始までまだ時間があるからといって安心は禁物です。義務化開始以降はそれが毎日の作業となることを想像してみて下さい。習慣は簡単に変えられるものではありません。HACCP義務化に無理なく対応できるように、今からHACCP対応を着実に進めていくことが重要です。