技術情報

ベントグリーンの最近の病害発生傾向と対策

バイエルでは病害診断のご依頼を承っています。診断数はおよそ500件~700件で推移しています。今回、過去3年の診断結果から見る病害の傾向と今後の対策についてレポートします。

寒地型芝(ベントグリーン) 最近の病害発生傾向と対策

  1. 細菌病、炭疽病、ピシウム病の3大“問題”病害と藻類の発生が多く、これらの混合感染割合も多い
  2. 混合感染に気付かないことが多いので、正確な診断が必要
  3. サマーデクライン(夏の衰退)時に病原菌に感染しやすい
  4. 盛夏の高温期、晩秋の低温期はベントグラスの回復力が落ちているので特に発病させないように注意
  • 適切な薬剤選択と、予防散布による早めの菌密度低下が重要。
  • 予防散布は、結果的にベントグリーンの総管理費(人件費、薬剤費、芝の張替えなど)マネジメントに優れる。

おすすめの防除

ピシウム病 → シグネチャーWDG(予防)

 

バイエルの病害診断数の年度別推移

病害診断は、芝の景観上、生育上およびゴルフプレイなど機能上に不具合が生じたときに依頼されるケースがほとんどです。診断の目的は不具合の原因(病原菌やストレス)、回復に有効な手段(殺菌剤など)の特定およびその手段の有効性の確認(例えば殺菌剤散布後の効果の程度)に分類されます。

 

寒地型芝(ベントグリーン)の月別病害診断数(2014年~2016年)

ベントグリーンの病害診断数は、例年7~8月に最も増加します。高温や多湿によりベントグリーンが衰退しやすいこの時期は、病原菌が感染、発病しやすくなりますので注意が必要です。また、3~6月にも比較的多くの診断が見られます。

 

寒地型芝(ベントグリーン)に頻繁に発生する病害

~ベントグリーンの3大問題病害~

ベントグリーンの中で毎年最も多く診断される病害は、細菌病、炭疽病、ピシウム病(梅雨明け後の高温時期は主に赤焼病)の3つで、バイエルは3大問題病害と位置づけています。3大問題病害は、藻類を除くその他の各病害の5倍以上が例年診断されています。次いで病害ではありませんが藻類の診断が多く、高温多湿になりやすい日本の特徴といえます。また、病原菌が診断されないケースも多く、病原菌以外の要因(乾燥、ストレスなど)により、ベントグリーンの生育不良が引き起こされていると推察されます。

 

寒地型芝(ベントグリーン)に3大病害の発生が多い月(2016年)

寒地型芝(ベントグリーン) 3大病害の発生が多い月

3大問題病害はベントグリーンに対する病原菌以外のストレスと密接に関連しており、高温、乾燥や多湿、過度な刈込や踏圧、更新作業、日照不足や過剰な太陽光(紫外線)などには注意が必要です。これらのストレスがピークに達し、ベントグリーンが衰退(サマーデクライン)し、3大問題病原菌も活発になりやすい7~8月に一気に発病し、ベントグリーンの機能を損ねます。また、サマーデクラインは藻類と春先の低温性ピシウムの感染も関与していますので、これらの対策もベントグリーンの夏越しに有効です。盛夏を乗り越えてベントグリーンの体力がまだまだ本調子で無く、更新作業が増加する9~10月も、これら病害の診断数が多い傾向にあります。2016年は特に10~11月の細菌病の多さが特筆すべきポイントでした。例年よりも降水量や降水日数が多く、日照不足の傾向にあったことも影響したと思われます。

殺菌剤による病害防除の基本は予防散布です。3大問題病害は一年中感染が見られますが、特に春先からも感染が見られることから、この時期から7~8月のトップシーズンに向けて予防的に菌密度を下げておくことが極めて重要です。

 

寒地型芝(ベントグリーン)の混合感染

寒地型芝(ベントグリーン) 混合感染の発生

1つのサンプルに複数の病原菌が診断されるケースをバイエルは混合感染サンプルとして取り扱っていますが、例年、全サンプル中の2割ほどが混合感染として診断されています。グラフを見ますと、ベントグリーン病害の増加に比例して、7~8月をピークに混合感染の件数が増加していることが分かります。病害防除を考える上で混合感染を考慮することは非常に大切です。なぜなら、例えばAという病原菌の対策(殺菌剤散布など)を行っても、Bという病原菌に何ら効力を発揮しなければ、ベントグリーンは病害症状から回復できないことが多々あるからです。対策を取る前の正確な診断の重要性を示す資料です。

 

寒地型芝(ベントグリーン)における3大問題病害の混合感染

寒地型芝における3大問題病害の混合感染表

寒地型芝における3大問題病害の混合感染表

3大問題病害を例に具体的に見ていきましょう。混合感染の内、細菌病、炭疽病、ピシウム病が関係する割合は例年60~70%と高い数値で推移し、なかには3つの病原菌が1つのサンプルに診断されることもあります。細菌、炭疽菌、ピシウム菌は菌の性質(分類)が比較的大きく異なり、殺菌剤に対する感受性も通常異なることが知られています。混合感染が確認されたら、それぞれの菌に合わせて適切な剤の選択、または組み合わせが必要となってきます。

3大問題病害の詳細はこちらから

炭疽病 細菌病 ピシウム病