SU抵抗性スズメノカタビラとは?
長年トップの問題雑草であるスズメノカタビラ。近年特にSU抵抗性が疑われるスズメノカタビラの増加が見受けられます。今回は、そもそもSU剤とはどんなものか、詳しく見ていくことでSU抵抗性のスズメノカタビラの対策について説明いたします。
そもそもSU剤ってなに?
スズメノカタビラ(イメージ)
// ALS阻害剤のひとつ
// ALS(アセト乳酸合成酵素)とは、植物の生育にとって必須のアミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)の生合成を触媒する酵素
// SU剤を含むALS阻害剤はALSの働きを阻害することによってアミノ酸の合成を妨げ、雑草を枯死に至らしめる
// ALSは鳥類、魚類、動物は持っていないので、安全性に優れていると考えられる
アミノ酸生合成経路におけるALSの働きとSU剤の阻害ポイント
SU抵抗性のスズメノカタビラではなにが起きている?
ALSのDNAの塩基配列の一部が変異
ALSのアミノ酸配列の一部が変異(例えば574番目のトリプトファンがロイシンに変異)
SU抵抗性の獲得
// SU抵抗性スズメノカタビラ対策は?
- 土壌処理剤で発生前にしっかり抑える
- SU剤を連用しない → SU剤以外の作用機構を持つ除草剤とのローテーションが必要!
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- SU剤とは異なる作用機構(超長鎖脂肪酸生合成阻害)
- 秋期に土壌処理剤と混用処理することで、発生後のスズメノカタビラに対して安定した除草効果
- アシュラム剤、SU剤に次ぐローテーションの一角に
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超長鎖脂肪酸生合成阻害とは?
// 超長鎖脂肪酸とは、炭素数20~30以上の飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸からなり、植物の表面を覆うクチクラのワックス層や細胞膜のスフィンゴ脂質の主成分である
// 超長鎖脂肪酸生合成阻害剤は、超長鎖脂肪酸合成酵素の働きを止めることによって、長鎖脂肪酸から超長鎖脂肪酸になる最初の炭素鎖伸長反応を阻害する。その結果、細胞分裂が阻害されて雑草を枯死に至らしめる
★:葉緑体で合成されたC16以上のアシルCoAが小胞体に移行した後に、マロニルCoAとの反応で炭素数が2つずつ伸長することで、超長鎖脂肪酸が生成される。超長鎖脂肪酸生合成阻害剤は、このときに触媒となる酵素の働きを阻害する。
参考文献:新版 農薬の科学(朝倉書店)
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