ダラースポット病

病原体:スクレロチニア菌

葉上に感染した初期の病斑の縁は赤褐色になる。その後感染が進みスポット状となり、ムギワラ色~灰褐色を示す。主として排水によいベントグラスのサンドグリーンに発生しやすい病害である。多犯性の菌であり、ベントグラスや日本芝に発生が多い。ベントグラスの品種によって罹病性が異なる。

【発生芝種】ベントグラス、日本芝、ケンタッキーブルーグラス、ライグラス、トールフェスク、バミューダグラス

菌の主な生息部位

 

発生芝種・発生時期

 

ダラースポット病

 

発生生態

葉上に感染した初期の病斑の縁は赤褐色になる。その後感染が進みスポット状となり、ムギワラ色~灰褐色を示す。主として排水のよいベントグラスのサ ンドグリーンに発生しやすい病害である。多犯性の菌でありベントグラスや日本芝に発生が多い。ベントグラスの品種によって罹病性が異なる。

肥料(特に窒素)を少な目に管理すると激発を起こしやすい。肥料不足によるフェアウェイやラフでの発生が近年目立ってきた。それゆえカーブラリア葉 枯病や象の足跡(あるいはこれらとの混合感染)、虫害、乾燥害と誤診する可能性がある。コウライシバのダラースポットは黄色であるがノシバでは大型になり 白色である。

5月中旬に菌を人工接種すると5~7日後に葉先枯れが起こり、その後下方に枯れが進みスポット症状となる。さらに発病が進むと地下部も侵され裸地化する。湿度の高い早朝にはスポットの上に菌そうが現れる。また、発病ソッドをポリ袋に入れると湿度が高まるのでピシウム菌、ニグロスポラ菌、リゾクトニア菌と同様、空中菌糸が現れる。伝播は刈り取り機によることが多い。

北米ではアリマキ(Lasius ant)の出す蟻酸によってもダラースポットに似た症状を発生させるという。また、初期のダラースポットは夏期に発生するヒサゴトビハムシ(光沢のある青 紫色で体長2.5~3mmの鞘翅目昆虫)の被害跡ときわめてよく似ているので要注意である。

 

予防対策

肥料(特に窒素肥料)を切らさないこと。発生期の尿素施肥は発病を抑えることが知られているが、その効果は降雨や散水の影響を受ける。また朝露の放置が発 病に関与するので早朝の刈り込みなど物理的に露を落とすことも抑制につながる。夕方~夜間の散水はそれゆえ控えた方がよい。根圏が一時的に乾燥すると発生 が助長される。

ベントグリーンの場合、晩春のダラースポットの予防にスペクトラムの広い薬剤を使用すると続いて発生する炭疽病、ブラウンパッチ、赤焼病、 ピシウム病の予防にもなる。酸性土壌では発生を抑制するが、りんとカリは影響が少ないという。比較的抵抗性のベントグラス品種の選択も大切である。

拮抗微生物の利用もダラースポットを抑制することが報告されている。晩秋と翌春の2回予防処理は菌密度を下げ発生を非常によく抑えた事例がある。

 

治療対策

DMI剤、MBC剤、ジカルボキシイミド剤、SDHI剤など優れた薬剤があるので防除はたやすい。耐性菌(低感受性菌)を出さないよう作用性の異なった薬 剤でローテーション散布を日頃から行なうことが大切である。

散布したにもかかわらず連続して多発した場合には感受性低下を疑い、作用性の異なる薬剤を選定 することである。ダラースポットの菌糸集団は撥水性を帯びているので、散布液に展着剤を加用すると効果的となる。また散布水滴は小さい方がよく、発生初期 では高濃度少水量散布がより有効である。

一般的には効果の低下は残効期間が短くなることから始まる。また地下部の組織にまで侵されてから散布した場合不効 と錯覚しがちとなる。地際部深く侵されるまでに早めに散布することが肝要である。秋期遅くに発生させ、そのまま放置しておくと回復せず翌春まで跡が残ってしまう。

薬剤の種類により発生を助長する場合があり、病原菌に対する拮抗微生物の活動が抑えられたり、芝に直接生理的影響を与えるのではないかと推測され ている。

 

バイエルの推薦防除方法

菌密度が低い時期はベンズミダゾール剤、ジカルボキシイミド剤、SDHI剤、グアニジン系薬剤などの予防散布、菌密度が高くなる時期はDMI剤の予防散布が重要である。窒素レベルをやや多めに管理すると発生しにくくなります。

 

参考写真

ダラースポット病 1

スクレロチニア菌( ダラースポット)の菌そう. 培養初期は白色であるが後期には茶褐色になる

 

ダラースポット病 11-2

グリーン一面に付いた朝露. 朝露と窒素不足のグリーン管理はダラースポットの大発生を招く(10月)

 

ダラースポット病 11-3

モアによるダラースポットの伝播. 左の褐色円は菌の接種による発病の塊りで、刈り取り方向に点在して発生したダラースポット(接種38日後、ベントグリーン 6月) 

 

ダラースポット病 11-4

ダラースポットに感染した灰褐色葉の表面には太い病原菌糸が観察され、その細胞内には無数の顆粒が見られる(ベントグリーン 10月) 

 

ダラースポット病 11-5

発生したが対処しなかったため感染が地際部まで進行したダラースポット. 薬剤を散布しても回復には時間がかかる(ベントグリーン 7月) 

 

ダラースポット病 11-6

感染初期のダラースポットは虫害跡と間違えやすい. a:典型的なダラースポット症状 b:ヒサゴトビハムシによる被害跡は1cm前後の小さな褐色スポットで、枯れた葉をよけると中に小さな穴がある(ベントグリーン 6月) 

 

ダラースポット病 11-7

薬剤散布によるダラースポット防除効果の確認方法 a:ダラースポットを含むのソッドをポリ袋に入れて閉じ、一晩湿室に保つ b:翌日、表面に白色の菌糸が出現すれば病原菌はまだ生きている証拠 

 

ダラースポット病 11-8

感染初期のダラースポットは虫害跡と間違えやすい. a:典型的なダラースポット症状 b:ヒサゴトビハムシによる被害跡は1cm前後の小さな褐色スポットで、枯れた葉をよけると中に小さな穴がある(ベントグリーン 6月) 

 

ダラースポット病 11-9

殺菌剤散布によるダラースポットの治療効果. a:C散布剤処理、b:D剤処理、c:E剤処理、d:無処理(6月14日人工接種、6月22日散布、7月12日撮影) 

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