ドライスポット

病原体:非生物的病原

砂がおよそ90%以上のサンドグリーンのベントグラスに特異的に発生する。夏場の高温・乾燥が続いたときに発生しやすい。新設のサンドグリーンには発生しないが、4~5年経過すると発生するようになる。

【別名】ローカライズド(またはローカル)ドライスポット(Localized dry spot)、ドライパッチ(Dry patch)、分散ドライスポット

菌の主な生息部位

 

発生芝種・発生時期

 

ドライスポット

 

発生生態

砂がおよそ90%以上のサンドグリーンのベントグラスに特異的に発生する。夏場の高温・乾燥が続いたときに発生しやすい。新設のサンドグリーンには 発生しないが4~5年経過すると発生するようになる。最初は朝露が着かない不規則なスポット状、あるいは肥料による芝の色ムラ(青緑色)ではないかとして 気付く。その後、芝は黒ずんで萎凋し、土壌は深さ2.5~6cmのところで疎水性になり、散水してもその層は濡れない(初期症状)。

そのまま放置しておくと芝は土壌水分の不足(土壌の体積水分比7%以下)のため褐色、枯死にいたる(後期症状)。

土壌が撥水性になる原因は土壌粒子表面に疎水性の腐植酸(CaやMgが結合したフルボ酸)が付着することによる。この腐植酸蓄積の原因としては糸状菌(フェアリーリングなどの担子菌)関与説、微生物関与説、有機質関与説などがあり不明確である。

 

予防対策

春の生育期にサッチを除去し、浸透剤を定期的に処理すると発生を少なくすることが可能である。春または秋のエアレーション後の処理はより効果的となる。昨年発生したグリーンでは冬期からの処理が有効である。殺菌剤散布時に浸透剤や展着剤を入れておくことが大切である。

しかし、連用しすぎると逆に発生しやす くなるという意見もある。スポットは毎年同じところに発生し、症状がまだ出ていないときでも、すでにその部分では土壌水分や地温が健全部分と異なっている。土壌水分計を利用して、土壌の水分を測定することによって事前に発生箇所を把握することが可能である。

 

治療対策

一般的に晴天が続く5月頃の発生は多量の潅水や浸透剤処理などで回復する。しかし、梅雨明け後~夏期の発生はほとんど回復しない。このことは入梅までの処 置がいかに大切かを示している。より効果的な浸透剤の使い方は、まず、撥水性になった層を把握してから必要な深さまでドライバーなどで穴をあけ、降雨直後 に処理、あるいは十分な散水後に処理するとよいようである。機械で水圧潅注することも可能である。殺菌剤の利用による治療は疑問視されている。

ドライス ポットの初期症状と炭疽病はよく似ているが、ドライスポットは土壌が疎水性になっているので区別できる。診断を間違えると対策も間違えることになる。

 

バイエルの推薦防除方法

定期的な土壌の透水性改善資材の散布およびコアリングなど耕種的手法により透水性を悪くしないように管理します。特に梅雨前までの作業が重要です。

 

参考写真

ドライスポット 2-1

ドライスポットの発生初期. 軽いので見過ごし易いがこの時期の対処が極めて重要である(ベントグリーン 5月) 

 

ドライスポット 2-2

ドライバーなどで穴をあけた後に浸透剤を処理すると効果的となる(ベントグリーン 6月) 

 

ドライスポット 2-3

梅雨明け後の高温時期における激しいドライスポット. この時期に対処してもほとんど治らない(ベントグリーン 8月) 

 

ドライスポット 2-4

ドライスポット内のベントグラス. 根部表面から発達する根毛(矢印)は水分不足で萎れている(ベントグリーン 10月) 

 

ドライスポット 2-5

ドライスポット部分のソッド切断面に水滴をのせると撥水性になっている部分が把握できる. 左上部(矢印)は水滴が消え、親水性を示している 

 

ドライスポット 2-6

撥水性土壌粒子の顕微鏡観察. 砂粒子の表面に丸い空気泡(矢印)が付着している

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