フェアリーリング病

病原体:担子菌類

基本的な症状としては芝生が大きなリング状または帯状に濃緑色になったり、褐変枯死したりする。6~10月頃には高温と降雨(過湿)の環境下、独特のキノコ(胞子を造る子実体)が出現する。

菌の主な生息部位

 

発生芝種・発生時期

 

フェアリーリング病

 

発生生態

基本的な症状としては芝生が大きなリング状または帯状に濃緑色になったり、褐変枯死したりする。6~10月ころには高温と降雨(過湿)の環境下、独特のキノコ(胞子を造る子実体)が出現する。病原菌は土壌中に、土性にもよるが深さ10~15cm位まで潜んでおり、芝に対する病原性は無いか、あっても比較的弱い。それでも芝が枯れるのは腐生的に蔓延増殖した病原菌により土壌が撥水性となり、芝が水不足に陥るためである。

この乾燥ストレスに加えて菌の根部感染およびそれが出す刺激(促進、抑制)物質や有機物代謝から発生する窒素によって芝が異常生長、濃緑化、黄化、あるいは枯死に至らせると解釈されている。少雨で高温乾燥の年には大発生したり、排水のよいサンドグリーンで発生しやすいのはこのためである。枯死にいたれば裸地化した帯ができるのでグリーンに発生させるとプレイに差し支える。

普通、土壌中の拮抗菌で病原菌は抑制されているがサンドグリーンなどの拮抗菌の少ないところでは発生しやすい。病原菌の生息(増殖)位置で分類することがある。

即ち、土壌の中で増殖するグループと表面サッチ層で増殖するグループがあり、後者は芝の根に感染するのでドライスポットの原因にもなる。 病原菌の有無は、疑われる部分のソッドを採取し、ポリ袋に入れておくと湿度が高くなり、菌がソッドの側面に増殖してくるので判定できる。発生していれば土壌はキノコ臭がただよう。

ゴルフ場で発生するフェアリーリングの病原担子菌は50種以上もあるといわれている。主な菌は以下の種類である。

 

ホコリタケ

夏期になると袋状の丸い子実体(1~4cm大)が出現する。新しいときは白色であるが古くなると褐色に変わる。症状は、初期では芝が黄化し、その後50~60cmの濃緑色のリング状となる。リング同士が融合すると融合したところはお互いが拮抗して消失し、外側 のみが残って波状となる。夏期のコウライグリーンやベントグリーン、ティによく発生し、リングの外側が褐変枯死し、ベアーの帯となって残る。土壌中の菌密 度は比較的低く、浅いところ(4cm位まで)に存在する。ホコリタケ科の菌にはベントグラスに感染力が強いチビホコリタケと、日本芝に感染力が強いヒダホ コリタケがあり、両菌とも芝根の表皮細胞に感染し、破壊する。

 

コムラサキシメジ

夏前、フェアウェイやラフに数m~数10mの大きな濃緑リングを形成する。融合するとさらに大きな扇状とな る。菌糸はリング枯死帯の真下から外側に深さ10cm位まで増殖している。枯死帯の内側が濃緑色で、春や秋になるとその間に淡い紫色、後に淡褐色になる 3~5cm大のカサの付いた子実体が発生する。リングは外側に向かって毎年20~30cm広がる。この菌は芝に感染せず、サッチ内で増殖する。

 

シバフタケ

茶褐色の小さな1~2cmの子実体(カサあり)を形成する。夏期フェアウェイに数mの濃緑リングができる。この菌の密度は非常に高くリングの濃緑色部の下の土壌に集中している。

 

ハラタケ

秋期フェアウェイに濃緑の大きなリングを形成する。8~9月になると出現する灰白色の子実体は初めは丸いが後にはカサが開き大きさは5~10cmと大型である。

 

オオシロカラカサタケ

夏期に白色のゴルフボール大の子実体を造るがリングは形成されない。それゆえキコガサタケ同様、本菌はフェアリーリング病菌ではないという考えもある。

 

予防対策

予防散布の概念が少なくなってから発生が多くなっている。毎年発生するベントグリーンでは予想される発生時期までに展着剤入りの殺菌剤(DMI,QoI剤など)を事前に処理しておくことである。これは他の病害の治療散布をかねるかも知れない。 肥料の種類や施用量、土壌酸度はフェアリーリングの発生と関係するようであるが一定の見解はいまのところ無い。未熟な有機質の施用は発生を助長するともいわれているのであまり多用しない方が賢明である。子実体(キノコ)の手取りも大切で、次の発生源となりうる胞子を除去できる。冬場においても乾燥すると芝が枯死するので土壌を乾燥させないように注意して芝の生育を促すこと。

 

治療対策

病原菌はリングの枯死部と濃緑色部の下の土壌中に蔓延しているのでこの部分に穴をあけ、展着剤(浸透剤)を加用した殺菌剤を灌水する方が効果的となる。

薬剤散布時期は真夏を除き4~10月までである。防除効果は草丈と散布水量に大きく左右される。少水量散布は効果を激減させる。散布水量は多いほど効果は高 いが、登録外使用となるので規定量で散布の回数を増やすことで可能である。降雨を利用して薬液を土壌中に浸透させるのもひとつの方法である。シバフタケに よるものは菌密度が高いので特に多くの水量(10L)が必要である。

緊急対策としては深さ30cm位まで掘り起こし、新しい土壌に入れ替え、その上に芝を張ることである。

 

バイエルの推薦防除方法

一般にDMI剤あるいはSDHI剤の発生初期散布が知られていますが、予防散布も有効です。

 

参考写真

フェアリーリング病 17-1
リコペルドン菌(ホコリタケ)の丸い子実体(キノコ)の初期は白色であるが(a)、後期になると褐色に変わる(b)

 

フェアリーリング病 17-2
レピスタ菌(コムラサキシメジ)の褐色の子実体 

 

フェアリーリング病 17-3
感染したソッドをポリ袋に入れて湿度を高めると数日後には側面に白色の表面菌糸が出現する(ノシバ 4月) 

 

フェアリーリング病 17-4
フェアリーリングの菌糸は細く、"かすがい連結"構造(矢印)を持っている 

 

フェアリーリング病 17-5
ベントグリーンに発生したフェアリーリング. 併発しているイエロースポットはリングの中にはほとんど発生していない(9月) 

 

フェアリーリング病 17-6
フェアリーリングの濃緑帯とその両側にできた褐色帯. 黒い藍藻類の併発もあり、美観を著しく損ねるベントグリーン(8月) 

 

フェアリーリング病 17-7
フェアリーリングの枯死帯のみが残ったベントグリーン(7月) 

 

フェアリーリング病 17-8
フェアウェイに発生したフェアリーリング(9月) 

 

フェアリーリング病 17-9
薬剤散布によるフェアリーリングの防除. 左のワクから無処理、F剤処理、G剤処理、H剤処理の順(a:7月処理時、b:10月撮影) 

 

フェアリーリング病 17-10
薬剤散布によるフェアリーリングの防除.フェアウェイ部分に薬剤散布(右側)、ラフは無散布区.散布区はほぼ症状が消失している(11月) 

 

フェアリーリング病 17-11
薬剤散布によるフェアリーリング子実体の発生抑制. a:I剤処理、b:J剤処理、c:K剤処理、d:無処理(4月薬剤処理、6月撮影)

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