ピシウム病

病原体:ピシウム菌

ピシウム病は今のところ分類上、赤焼病以外のピシウム菌による病気の総称とされている。ピシウム菌はサンドのような微生物相が貧困で、湿潤な環境を極めて好む種類であり苗立枯れ、根腐れを起こす。コウライグリーン、ベントグリーンいずれにも発生し、年中いずれかのピシウム菌が関与して病気が発生する。

【発生芝種】ベントグラス、日本芝、ケンタッキーブルーグラス、ライグラス
【別名】綿腐病

菌の主な生息部位

 

発生芝種・発生時期

 

ピシウム病

発生生態

ピシウム病は分類上、赤焼病以外のピシウム菌による病気の総称とされている。ピシウム菌はサンドのような微生物相が貧困で、湿潤な環境を極めて好む種類であり苗立枯れ、根腐れを起こす。排水の良いサンドグリーンでも散水が頻繁に行われるため多湿になっている時間が長くなるのでピシウム 菌は増殖できる。コウライグリーン、ベントグリーンいずれにも発生し、年中いずれかのピシウム菌が関与して病気が発生する。ベントグラスの発芽期~幼苗期 は最も感染しやすいので、インターシードした場合には発病の有無が分かり難く特に気を付ける必要がある。水ミチに沿って下方向に発生するのは赤焼病の特徴 と同じである。 症状も円形、不定形、リング状で、色調も黄化~褐色、大きさも大小様々であり肉眼的診断は困難である。病勢が進んでいるときは胞子のう(無性器官)が、芝が枯れてくると直径18mmの卵胞子(有性器官)が根部などにみられるので診断に役立つ。 ピシウム菌は他の病原菌との混合感染が多く、ラージパッチ、炭疽病、ゾイシアデクライン、春はげ症などとがあり症状をより激しくさせている。 ピシウム菌は培養すると極めて早く生育する。これを利用して発病した芝のソッドをポリ袋に入れておくと、2~3日のうちに芝の上に空中菌糸が出てくるので診断に役立つ。また、培地上に現れる菌叢の模様である程度ピシウム菌の種類が推定できる。最近、サマーデクラインの原因のひとつに根部感染ピシウム菌(3種類)の関与があげられている。

 

予防対策

グリーン表面の過湿や日陰に注意すること。夜間送風も予防対策になる。

 

治療対策

ピシウム菌の種類によって感染部位が異なる。低温期のピシウム病は根部病害のため下方移行性のある薬剤や土壌吸着の弱い水溶性の薬剤を選び、散布水量を多くするか、通常の散布後に後散水する方がよい。感染が進んだ場合には深さ6cmにある根にも卵胞子がみられることからもその必要性がわかる。

 

バイエルの推薦防除方法

各種予防剤による発生前散布による菌密度低減、発生時にはPA剤を散布します。

 

参考写真

ピシウム病 10-1

ピシウム菌の灰白色菌そう. 低温性ピシウム菌の菌そうは細かい模様ができる

 

ピシウム病 10-2

ピシウム菌の有性時代. 丸い蔵卵器の表面に見られる小さな突起(矢印)は蔵精器、受精後は卵胞子(耐久体)となる

 

ピシウム病 10-3

ピシウム菌の卵胞子. 表面が平滑なもの(a)と突起のある もの(b)があり、菌種の区別に役立つ

 

ピシウム病 10-4

根部組織内に卵胞子を形成する低温性ピシウム菌. 病気の伝搬は遅いが薬剤防除には多水量散布が必要(ベントグリーン11月)

 

ピシウム病 10-5

罹病ソッドをポリ袋に2~3日入れておくとピシウム菌の灰白色空中菌糸が現れ診断に役立つ

 

ピシウム病 10-6

黄化症状を示す低温性ピシウム病. 細菌病との区別は困難(ベントグリーン 2月)

 

ピシウム病 10-7

低温性ピシウム菌による褐色症状(ベントグリーン 12月)

 

ピシウム病 10-8

低温性ピシウム病は赤褐色になる場合もあり、炭疽菌による症状との区別は達観では難しい(ベントグリーン 4月)

 

ピシウム病 10-9

黄色の明瞭なパッチを現している夏期のピシウム病. 炭疽病に似ている(ベントグリーン 7月)

 

ピシウム病 10-10

低温期のピシウム病. テイクオールパッチやイエローパッチ、低温期の炭疽病などの症状と区別が困難である(ベントグリーン 12月)

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